星 周作 Blog

★ 福岡より〇〇をこめて  ★

イスラエル人、ユダヤ人、ヘブル人(最終回)

 

(その⑩)の続き。

 

前回同様に本日もアケメネス朝ペルシヤのクロス2世について触れたいと思います。

 

クロスはペルシヤ帝国(アケメネス朝ペルシヤの別称)の初代の王ですが、ペルシヤ帝国は今のイラン及び東はインド、西は小アジア、南はエジプトの一部に渡る大帝国でした。

今のイラン人はクロスを建国の父と呼んでいます。

 

f:id:hoshishusaku:20180809031626j:image

f:id:hoshishusaku:20180809031612j:image

 

クロスが生まれる100年以上も前に預言者を介して預言された聖書の記事を前回に続き見たいと思います。

イザヤ書45:1~7をご覧ください。

f:id:hoshishusaku:20180809031641j:image

f:id:hoshishusaku:20180809031652j:image

f:id:hoshishusaku:20180809031705j:image

f:id:hoshishusaku:20180809031718j:image

1節冒頭で「主は、油そそがれた者クロス」と驚きのことばが書かれています。

「油注がれた者」とはヘブル語で「メシア」つまり救い主のことです。

異邦人がこのように呼ばれることは極めて異例のことであり、それだけにクロスの使命の重要さがわかります。

つまり、創造主(神)が立てた御計画を遂行するためにクロスに特別な能力を賦与されたのです。

同じ1節に「彼の前に諸国を下らせ」とありますが、クロスは、シリヤ、アッシリヤ、アラビヤ、カパドキヤ、フルギヤ、ルデヤ、カリヤ、フェニキヤ、バビロン等を征服して大帝国を築くことになりました。

「王たちの腰の帯を解き」とは武装解除することを意味し、「彼の前にとびらを開いて」とは敵の町の城門を開くことを意味していますが、クロスがバビロンを攻める時、首都バビロンは無敵艦隊のような要塞都市だったのですが、バビロンの最後の王ペルシャツァルや貴族は大宴会を催して乱痴気騒ぎをしていたので武装されておらず、堅牢な城門も開かれていて首都バビロンは一夜にして陥落したのです(紀元前538年)。

これらの事は、当時、バビロンに捕囚されていたダニエルが書いていますが(ダニエル書5章参照)、後世のヘロドトスも著書「歴史」の中で書いています。

次に注目していただきたいのは、4節の「あなたはわたしを知らないが、わたしはあなたに肩書を与える」という言葉です。

これも驚くべき言葉です。

言うまでもなくクロスはイスラエル人でなく、イスラエルの神、すなわち唯一の神を信じる者でないにも拘わらず、肩書つまり油注がれた者とされた、という驚きです。

ペルシャの宗教はゾロアスター教ゾロアスターが開祖の宗教)であり、クロスもゾロアスター教を信じていて、多神教者でもあったのです。

それで主なる神は「あなたはわたしを知らないが」と言われたのです。

 

聖書をユダヤ人が書いた神話、作り話だと主張するたくさんの人たちがいます。

もし、作り話であるならば、「油注がれた者」ヘブル語で「メシア(救い主)」という極めて重要な称号を異邦人に、それもゾロアスター教などの異教の神を信じる者に与えるストーリーをユダヤ人が書くようなバカげたことをするはずはないはずです。

そもそもユダヤ人はメシア(救い主)はダビデ王の家系から出ると信じているのです。

異教の神を信じるクロスであっても創造主(神)が「油そそがれた者」としたことを、ユダヤ人の著者(預言者イザヤ)は不本意だったはずですが事実として忠実に記しただけなのです(と私は考えます)。

 

7節では「わたしは光を造り出し、やみを創造し」とありますが、この言葉はとても重要なものです。

何故かと言うと、ゾロアスター教は世界を光の神アフラ・マズダと暗黒の神アーリマン(アングラ・マイニュともいう)の闘争とみていて、やがて両者は善と悪、創造者と破壊者と考えられるにいたったのです。

つまり、ゾロアスター教のふたりの神の役割は別であるが、イスラエルの神(真実の神)は唯一であり、光もやみも、すべてを創造するお方であるということなのです。

 

最後に前回予告したヘロドトス(紀元前485年~420頃)の著書「歴史」の中でクロス2世のことが書かれている、その一部を要約し以下紹介したいと思います。

少し長くなりますが(日本語訳の原文よりかなり短縮要約)、ご容赦ください。

 

ペルシヤの地を支配していたメディア帝国の王アステュアゲスにマンダネという娘がいましたが、ある時王は、この娘が放尿した尿が町中に溢れ、さらにアジア全土に氾濫するという夢を見ました。

王は側近のマゴス(智者、占い師、占星術師)に夢の意味を問うと、マゴスは王の娘から出る者から、あなたの王位は押し流されてしまうと解き明かします。

王は恐怖して、娘マンダネが年頃になった時に、その当時小国であったペルシヤのカンピュセス王のところに嫁がせたのです。

このカンピュセス王の父がクロス1世です。

マンダネがカンピュセス王に嫁いだ最初の年にアステュアゲス王はまた夢を見ます。

それはマンダネの陰部から一本のブドウの樹が生え、その樹がアジア全土を蔽ったという夢でした。

占い師のマゴスが言うには、この夢から判断して、王の娘の生む子が、アステュアゲス王を追い出して王となると解き明かすのです。

それで、アステュアゲス王は既に妊娠している娘をペルシヤから呼び戻して子供を生ませ、親族で重臣でもあるハルバゴスという者に子供を殺すよう命令します。

命令されたハルバゴスは自分にとっても血続きの子供を自らの手で殺すことが出来ず、メディア帝国の奴隷の牛飼いミトラダテスという男に殺すことを託します。

しかし、牛飼いのミトラダテスも殺すことが出来ず、自分の妻に相談すると、丁度妻は身ごもっていた子が死産だったこともあり、マンダネの子を自分たちの子供として育てることにしました。

牛飼いに育てられてから10年後のある時、この子供クロス(その頃はまだクロスという名ではなかった)が友達数人と王様ごっこの遊びをするのですが、王様に選ばれたクロスの命令に背いたメディア帝国の重臣であったアルテムバレスの息子をほかの子供に捕らえさせ、鞭で打つなどさんざんな目に遭わせました。

鞭打たれた子供は父のアルテムパレスにこの仕打ちを訴えます。

アルテムバレスは、自分の子供を連れて、すぐさまアステュアゲス王の許へゆき、「王よ、私どもはお抱えの奴隷、牛飼いのせがれから、かような狼藉に遭いました。」と子供の鞭打ちの傷がある体を見せたのです。

それでアステュアゲス王はクロスを呼び寄せ訊問すると、子供に似合わぬ物腰と風格があり、見ているうちに自分と顔立ちが似ていることと、ハルバゴスに殺すように命じた時期とこの子供の年齢とがちょうど符号することにも気付きます。

そこで子供の牛飼いの父親を問い質しますが、白状しません。

しかし、拷問をかける段になってやっと真実を白状することになります。

アステュアゲス王は命令に従わなかった重臣のハルバゴスを呼び、我が孫が生きていた祝いの宴会を設けたいのだが、ハルバゴスの13歳になる子供を宴会の前に宮殿に出向くよう命じます。

アステュアゲス王はハルバゴスの子供を殺し、体をバラバラにして頭と手足以外を調理して、この子供の肉以外の獣の肉料理は宴会に参加した他の者たちに食べさせ、何も知らないハルバゴスには子供の肉の料理を食べさせたのです。

そして、頭と手足に蔽いをした皿が運ばれ、ハルバゴスが蔽いを取ると我が子の死骸を見ることになるのです。

アステュアゲス王はハルバゴスにお前の食べた肉がどんな獣の肉か判ったかと聞くと、ハルバゴスは自若として「判りました。王のなされることにはどのようなことでも、私は満足でございます」と答え、残った肉を持って自分の屋敷に帰るのです。後で遺骸をまとめて葬るつもりであったようです。

アステュアゲス王はハルバゴスに上記のような罰を与えたのですが、孫のクロスついてどのような措置をとればよいか、夢を解き明かしたマゴスに聞いたところ、子供の遊びとは言えクロスは一度王になっているので、もう国王に禍を及ぼすこともない、という意見をします。

これを聞いたアステュアゲス王はクロスをペルシヤの王カンピュセスに嫁いだ娘マンダネのもとに返すことにしました。

小国ペルシヤに戻ったクロスはやがて成人し、同年輩の友人の中でも武勇に優れ人望有る人物になりますが、アステュアゲス王にひとり子を殺されて復讐の念を抱き続けていたハルバゴスは、クロスに贈り物を届けてはクロスにとり入ろうとします。自分のような一私人ではアステュアゲス王へ報復することは出来ないと思っていたからです。

あるときクロスの元にウサギの腹の中に隠された密書が届きます。それはハルバゴスからのもので、生まれて間もないクロスを亡きものにしようとしたアステュアゲス王に報復を促す内容でした。

ペルシヤ人はすでに以前からメディア人に支配されることを快く思っていなかったので、クロスという指導者を得て、欣然として自由を獲得する戦いに臨みます。

クロスの率いるペルシヤ軍が大軍のメディア軍を攻撃すると、かねてより内通していたハルバゴスが率いる部隊が寝返ったため、メディア軍は総崩れとなりました。

メディア軍の惨澹たる壊滅の報に接したアステュアゲス王はクロスをペルシヤに戻せと説いたマゴスたちを串刺しの刑に処し、つづいて町に残った者たちを老若を問わず武装させ、これらを率いて出撃しペルシヤ軍と戦いますが敗れ、アステュアゲス王も捕らえられ、メディアはペルシヤに支配されることになったのです。

 

以上、ヘロドトスの長編「歴史」の中のクロスが登場するほんの一部を要約しましたが、当ブログの読者の中で「歴史」を未読の方は、紀元前四百数十年前という大昔のものですが、岩波文庫(上・中・下巻)は読みやすいので、機会があれば読まれてみてはどうでしょう。

f:id:hoshishusaku:20180809031731j:image

 

 

↓ ↓ 聖書の他の重要なテーマについては、こちらをご覧ください。 

f:id:hoshishusaku:20190227033640j:plain

https://bible-seisho.jimdo.com/

 

★私は、聖書に書かれている内容を、誰が読んでも明らかに比喩的な言葉を除き、字義通り理解した上で信じています。したがって、創造主である唯一の神の存在を確信し、イエスをキリスト(救い主)と認める者です。しかし、カトリック教会等のいずれの教会にも属していない無教会者です。あらゆる新興宗教のいずれの信者でもありません★

・天地万物の創造主だけが神

・万物・人間を創造せずして神たる資格なし

・商売繁盛の神、龍神など「〇〇神」と「神」の文字をくっつけても、万物を創造せずして神たる資格なし

・釈迦が万物を創造した方なら、釈迦を神と崇めますが、万物・人間を創造せずして拝む対象に非ず。

〈私の信条〉

盲目的ではなく根拠に基づき理性的に、キリストを信じ尽くし、聖書を信じ尽くします。

★(HN)星周作:(本名)馬場忠博(1956年生):馬場聖書研究室★

<私は聖書の神を信頼する>

私は、命の源である天地万物の創造主である神が愛をもって私たち人間を創造してくださったと確信しています。愛である神が、天災、戦争、病などの苦難の多い人生で人間の一生を死によってすべて終わらせてしまうとは、私には考えられません。聖書に書かれている通り、神、キリスト・イエスを信じる者たちが、死後復活して神の御国において祝福の中で永遠の命を生きていくことを信じています。そのようにしてくださる神を信頼して、聖書の学びを継続します。

〈イエスを信じる者は永遠の命をもつ〉ヨハネによる福音書3:16)ことを私は確信します。

f:id:hoshishusaku:20180519173944j:plain