星 周作 Blog

★ 福岡より〇〇をこめて  ★

東方の博士たちとは何者か(その②)

 

(その①)の続き。

 

少し長いですが、まずマタイの福音書2:1~16をご覧ください。

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聖書には「東方の博士たち」とだけ書かれていて、具体的な人数は書かれていません。

それなのに何故東方の博士たちが3人だとして多くの絵画(下の画像)などに描かれているのでしょうか。

それは、11節の母マリアに贈られた物が黄金、乳香、没薬(もつやく)の3種類であったことから、古代キリスト教最大の神学者オリゲネス(185年頃~254年頃)以降、東方の博士は3人として語られるようになり、キリスト教の伝説のなかでそれぞれカスパール、メルキオール、バルターザールという名前が与えられるようになったのです(教文館「聖書大辞典」より)。

 

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↑<星に導かれる3人の東方の博士>

 

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↑<左からヨセフ、マリア、イエス、3人の東方の博士>

 

しかし、贈り物が3種類あったから博士が3人であったなどと解釈するのはあまりにも短絡的ですね。

実際の人数が何人であったのかは聖書を読む限り不明です。不明な聖書箇所は不明のままでいいのです。何人であったかなどと推測することは時間の無駄ですね。

 

黄金はもちろんですが乳香や没薬も当時かなり高価なものであったようで、13節に書かれているように父ヨセフ、母マリア、幼子イエスがエジプトに逃れるための資金になったようです。

因みに乳香は美容や死体の化粧に用いられ、祭儀用の香の作成にも用いられ、外傷用の薬品としても有名であり、没薬は宗教的な表敬の贈り物となり、また埋葬の際に芳香としても用いられ、とりわけ結婚式などで香料として用いられた(教文館「聖書大辞典」より)。

 

続いて、東方の博士たちが見た「星」の正体を検討したいと思いますが、イエスが誕生した地がベツレヘムであることから「ベツレヘムの星」と言われています。

東方の博士たちは「東のほうでその方の星を見たので、拝みにまいりました。」と2節に記され、9節では「東方で見た星が彼らを先導し、ついに幼子のおられる所まで進んで行き、その上にとどまった。」と記されています。

この「星」について様々な解釈がされています。

代表的な解釈を2つ取り上げます。

(1)ハレー彗星

イタリアの画家のジョット・ディ・ボンドーネ(1267年~1337年)は聖書を題材にした多くの絵画を描いていますが、その中の一つに「東方三博士の礼拝」を題材にしたものが下の画像です。夜空に大きく描かれた長い尾を引く赤い星は、ハレー彗星と見られています。この強烈なインパクトを放つベツレヘムの星は、ジョットが1301年に実際に見たハレー彗星をもとに描かれたそうです。ハレー彗星は約76年周期で地球に接近するため、誰も見たことがない明るい星という点は当てはまりそうです。

ただ、イエスが誕生したと推測されるのが紀元前4年頃なのに対し、紀元前12年にハレー彗星が現れた事が中国の記録に残されているようですが、イエス誕生の年としては早すぎるようです。

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(2)木星土星の3連会合説

1614年、ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーは、紀元前7年に起きた、木星土星の3連会合、すなわち両惑星が合体して見えるほどの接近を3回繰り返したのがベツレヘムの星の正体であると結論付けている。しかし現在では、両星の間隔は1度(月や太陽の視直径の2倍程度)ほど離れていたので、珍しい現象ではあるが合体してより明るく見えたというわけではないことがわかっている(ウィキペディアより)。

 

これらの解釈と異なり、メシアニック・ジュー(キリスト者)のアーノルド・フルクテンバウムは次のように説明します(一部要約)。

「この星がただの星でないことはその動きを見ればわかる。また、この星は『その方(ユダヤ人の王)の星』(マタイ2章2節)と呼ばれていて、それ以外の星とは一線を画している。この星は東から西に動き、北から南にも動く。ベツレヘムの一軒の家の上空にとどまり、そこにメシアがいることを指し示す。これがただの星でないことはだれの目にも明らかである。間違いなく、星とは違う何か別物である。それは何か。ギリシア語の『星』という単語の元々の意味は『輝き』『光』である。この光を放つ星は、通常の星ではなく、『シャカイナ・グローリー』の表れである。シャカイナ・グローリーとは、神の臨在が目に見える形で現われたものだ。旧約聖書で神が目に見える形をとる時、それはシャカイナ・グローリーと呼ぶ。シャカイナ・グローリーは、たいてい光、火、雲、輝き、あるいはそのいくつかの組み合わせとして現れる。バビロニアの上空に、遠くから見ると星のように見える輝く光が現われた。しかし、この星は通常では考えられない動きをしていた。東方の博士たちが見たのは、実はシャカイナ・グローリーだったのである。博士たちがこの星、通常見かけないような光を見たとき、それをユダヤ人の王であるメシアが生まれたしるしと判断したのである。」

アーノルド・フルクテンバウムが説明するこのシャカイナ・グローリーは聖書記事の中で神の臨在を現わすものとして記されていますが、2つの聖書箇所をご覧ください。

出エジプト記3:1~6

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ここでは神の臨在の現われ、すなわちシャカイナ・グローリーが火の炎として現れている。

 

出エジプト記13:21~22

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エジプトから脱出したイスラエルの民をシャカイナ・グローリーである「火の柱」「雲の柱」が導いている。

 

シャカイナ・グローリーという言葉自体は聖書に書かれている言葉ではありませんが、神の臨在が人間の目に見える形で現われる現象として、アーノルド・フルクテンバウムの説明を私は支持します。

皆さんはどう思われますか。

 

本日はここまでです。次回はユダヤ人の王が生まれたと東方の博士から聞いたヘロデ王が恐れ惑った(3節)のは何故か、東方の博士は星を見ただけで何故ユダヤ人の王が生まれると考えたのか等を検討したいと思います。

 

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https://bible-seisho.jimdo.com/



★私は、聖書に書かれている内容を、誰が読んでも明らかに比喩的な言葉を除き、字義通り理解した上で信じています。したがって、創造主である唯一の神の存在を確信し、イエスをキリスト(救い主)と認める者です。しかし、カトリック教会等のいずれの教会にも属していない無教会者です。あらゆる新興宗教のいずれの信者でもありません★

・天地万物の創造主だけが神

・万物・人間を創造せずして神たる資格なし

・商売繁盛の神、龍神など「〇〇神」と「神」の文字をくっつけても、万物を創造せずして神たる資格なし

・釈迦が万物を創造した方なら、釈迦を神と崇めますが、万物・人間を創造せずして拝む対象に非ず。

〈私の信条〉

盲目的ではなく根拠に基づき理性的に、キリストを信じ尽くし、聖書を信じ尽くします。

★(HN)星周作:(本名)馬場忠博(1956年生):馬場聖書研究室★

<私は聖書の神を信頼する>

私は、命の源である天地万物の創造主である神が愛をもって私たち人間を創造してくださったと確信しています。愛である神が、天災、戦争、病などの苦難の多い人生で人間の一生を死によってすべて終わらせてしまうとは、私には考えられません。聖書に書かれている通り、神、キリスト・イエスを信じる者たちが、死後復活して神の御国において祝福の中で永遠の命を生きていくことを信じています。そのようにしてくださる神を信頼して、聖書の学びを継続します。

〈イエスを信じる者は永遠の命をもつ〉ヨハネによる福音書3:16)ことを私は確信します。

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